2022 年 32 巻 p. 192-197
2016年度から始まった私立大学における「定員管理の厳格化」は,「トリクルダウン現象」とも言える状況を生み出した。本稿は,定員管理の厳格化が始まる前の年度から2021年度までの東京に所在する私立大学の入試倍率・偏差値・志願者動向を分析することで,トリクルダウン現象に関連する志願者数の増加は,偏差値帯の下位に位置する大学の方が上位に位置する大学よりも大きな影響を受けること,また,私立大学の入試倍率と偏差値との関係が,定員管理の厳格化の影響を受け変容していることを明らかにした。