本研究は, 過剰厩肥を連続施用したハウス環境条件下で, トマト果実の収量と不良果発生について観察するとともに, 土壌中の小動物と微生物相の消長について検討を試みた.その結果は以下のようである.
厩肥中のN, K, Ca含有量は, それぞれ2.8, 2.8, 2.4%を示し, 高い含有量であった.
果実収量は, 第1作5t区が50t区より1.2t/loa, 第2作50七区が5t区より1.08t/10a多収であった.第3作では尻ぐされ果が発生したが, 花数, 着果数および大型果の増加で補われ, 収量は増加した.第4, 5, 作では50t区で尻ぐされ果が, 5t無消毒区では萎凋病の発生があり, 両区とも減収した.
土壌中の置換性KとCaのmg当量比は, 第2作で0.25, 第3作で0.20に低下し, かつ5七区の10倍以上の尻ぐされ果が50t区で発生した.これは土壌中にKとCaが多量集積し, 植物のCa吸収阻害または, 他の原因との複合によって起こると考える.
糸状菌および細菌数の栽培中における推移は大きいが, 50t区と5t区, 土壌消毒区と無消毒区の間には有意な差が認められなかった.また, センチュウ, ヒメミミズおよびダニの個体数では, 第1作から第2作にかけて上昇し第3作で激減した.これは, 塩類集積および他の環境条件の変化が原因していると考える.
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