生物環境調節
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トマトの成長と体内無機栄養状態の量的解析
宇井 睦高野 泰吉
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1994 年 32 巻 3 号 p. 163-170

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抄録
水耕トマトにおいて季節を変えて栽培し, 各器官相互のSGRを比較することより成長の相的変化を求めた.また, 種々の器官のSGRと関係の深いいくつかの成分を発育相別に明らかにし, 比吸収率 (SAR: もとの器官乾物重あたりの養分吸収速度) と合わせて発育相の無機栄養特性を考察した.それらの考えをもとに, 無機栄養特性が栽培季節によりどのように変わるかを調査した.
1.第1果房収穫時までの成長において, 播種後約30日までの茎に対して葉のSGRが高い栄養成長初期と播種後約30日~70日の葉に対して茎のSGRが高い栄養成長後期, そして, 播種後約70日以後の果実のSGRが著しく高い果実肥大期の三つの発育相が見られた.
2.個体全体の無機要素のSARは生育につれて低下し, 栄養成長初期にN, 後期にKがピークに達しPは開花直前まで高い値を維持し低下した.果実肥大期では葉のCaのSARが増加し, 果実のN, KのSARが高い値を示した.
3.個体全体を見た場合栄養成長の初期ではNとK, 中期ではP, N, Mg, KのSARとSGRの偏相関が高かった.この結果は初期では葉, 中期では葉と茎の無機栄養特性と一致した.果実肥大期ではNとKのSARとSGRの偏相関が高く, 果実の栄養特性と一致した.
4.養分要求性の栽培季節による相違は, 春夏作に対し秋冬作のCaのSARが成長初期にすべての器官において高い値を示した.果実肥大初期の果実へのCaの吸収は高温 (約30度) で抑制された.秋冬作より春夏作のほうが老化した葉のCa吸収が高かった.夏期はP, Kの吸収が高かった.
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© 日本生物環境工学会
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