生物環境調節
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ウメ『南高』の果実発育の温度条件
鈴木 登王 心燕井上 宏
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1995 年 33 巻 4 号 p. 245-251

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抄録

ウメ『南高』の共台の2年生樹を2月1日から果実の成熟期まで, 環境制御施設の昼夜恒温の10, 15, 20, 25℃室および露地で栽培して, 結実ならびに果実の発育に及ぼす温度の影響について観察した.なお, 10℃区は果実発育第I期終了後, 15℃に昇温した.開花は高温区ほど早かったが, 不完全花の発生が多くなり, 結実率は低下した.いずれの温度処理区でも二重S字型曲線を描いて果径が肥大し, 高温区ほど早く成熟した.高温による発育期間の短縮は第I期と第II期 (硬核期) の日数の短縮であった.15℃以上で, 高温区ほど全果実発育期間中の日平均気温の積算温度は低くなったが, 第II期の低下によるもので, 第I期と第III期はむしろ高くなった.成熟果の果実重は15℃区で最大で, 25℃区で最小であった.核および種子は10~15℃区で最大で, 高温区ほど小さかった.果肉の可溶性固形物含量は高温区ほど高かったが, 滴定酸含量には差は認められなかった.

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© 日本生物環境工学会
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