抄録
ダム建設河川(神奈川県酒匂川)のヒゲナガカワトビケラ集団の遺伝的構造を,ミトコンドリア遺伝子(COI領域)を対象としたPCR-SSCP法により調査した.PCR-SSCP法のためのプライマーセット(増幅産物長160塩基)は,59個体のミトコンドリア遺伝子771塩基の配列から設計した.酒匂川とその近隣河川(相模川)の11地点より採集した330個体から,PCR-SSCP法による5つのSSCPタイプが認められた.SSCPタイプの頻度と多様度は,三保ダムを境界として,上流側と下流側(支流を含む)で明白に異なっていた.この結果は,三保ダムがヒゲナガカワトビケラの移動に対し,大きな障壁となっていることを示唆している.