応用生態工学
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事例研究
ロボットボートの視覚による誘導のためのディープニューラルネットワークを用いた湖沼水面の植生および環境認識
九間 啓士朗海津 裕嶋田 哲郎高橋 佑亮古橋 賢一芋生 憲司
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2021 年 23 巻 2 号 p. 369-376

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抄録

本研究では水草刈払いロボットの視覚センサとして,ディープラーニングによるセマンティックセグメンテーションにより,湖沼の水上の風景を自動的に分類するシステムの開発を行った.セマンティックセグメンテーシ ョンによるクラス分類に関しては今回実験を行った場所で刈り取り対象であるハスと希少種であるアサザを約 90%の正解率で分類することができた.ディープラーニングでは画像中の色や形状,位置情報を統合的に学習するため,照度の変化や水面の太陽光反射などの外部環境からの影響を受けず,水上のような特殊な条件下でもロバストな分類が可能であることを示すことができた.障害物として設置した竹や鋼管のポールに関しては,4 m 以内であれば 80%以上の正解率で分類が可能であり,さらに 4.0 m 以上先に位置する場合でも分類しその位置を測定できることを確認した.今後は,これらの分類結果と深度画像を組み合わせることによって,特定の植物種の刈払いや希少種の回避,障害物の回避などをロボットボートが自動的に行えるリアルタイム画像処理システムの開発を行う必要があろう.

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© 2021 応用生態工学会
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