応用生態工学
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短報
伊豆沼の湖沼を利用するサギ類のモニタリングにおける UAV の利用可能性
鈴木 透高橋 佑亮嶋田 哲郎
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2021 年 23 巻 2 号 p. 377-382

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抄録

宮城県伊豆沼において,サギ類の湖沼内の採餌環境は,ハスの過剰な増加による開放水面の減少や外来種による魚類相の変化より悪影響を受けていることが懸念されるが,その実態は明らかになっていない.そこで本研究では,サギ類を対象として,UAV を用いたモニタリングの利用可能性を検討した.調査は宮城県伊豆沼(面積:369 ha)で行い,2018 年 9 月に計 4 回,UAV を用いて上空から撮影を行い,計 7,852 枚の画像を取得した.撮影した画像を用いてサギ類の判別の可否を検討した.その結果,855枚の画像についてサギ類を確認することができ,UAV は湖沼内のサギ類のモニタリングに利用可能であると考えられた.また,UAV によるモニタリングを効率化するために,二値化処理による画像分析手法の利用可能性を検討した.その結果,今回使用した二値化処理は画像のスクリーニングには有用であるが,サギ類のみを抽出することは困難であり,手法のさらなる検討が必要であることが明らかなった.UAV や画像処理技術は,サギ類のモニタリングに関する新たな知見を取集することが可能であった.今後,UAV による生態系のモニタリングに関して,異なる環境や種への適用方法などよりよいプロトコルを検討していくことが望まれる.

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