抄録
本稿は,日本における気候変動教育の停滞を,物理面・政策面・意識面の「3 重の非常事態」として捉え,その中でも日本特有の「意識面の非常事態」に焦点を当てる。 気候変動への関心の低さの背景として,災害への馴化に加え, 社会変革への参画意識の弱さと「個人行動の心的飽和」を指摘し,個人行動偏重が責任転嫁と非当事者化を招いていることを論じる。 その上で,気候変動枠組条約が示したACE(Action for Climate Empowerment)とEU における社会的質の枠組みを用いて,「統合的気候変動教育」の枠組みや方針等を整理し,「社会変革への参画意識」を高める地域政策モデルを具体的に提示する。