E-journal GEO
Online ISSN : 1880-8107
ISSN-L : 1880-8107
調査報告
地域包括ケアシステムの圏域構造とローカル・ガバナンス
畠山 輝雄中村 努宮澤 仁
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 13 巻 2 号 p. 486-510

詳細
抄録

本稿は,ローカル・ガバナンスの視点から,地域包括ケアシステムに空間的・地域的なバリエーションをもたらす要因を考察するとともに,バリエーションごとの特徴と課題を抽出した.地域包括ケアシステムにバリエーションが生じる要因の一つには,自治体の人口規模の差異があり,それは地域包括支援センターの設置ならびに日常生活圏域の画定に関する基準人口によるものであるとわかった.小規模自治体では,単一の日常生活圏域における地域ケア会議を中心に集権型のローカル・ガバナンスとなる一方で,人口規模が大きくなるほど自治体全域と日常生活圏域の重層的なローカル・ガバナンスによる地域包括ケアシステムが構築される傾向にある.後者は,地域包括支援センターが日常生活圏域単位に複数配置される自治体において,各地域の特性を考慮した分権型のローカル・ガバナンスを統括するための自治体全域でのガバナンスが重視された結果である.

著者関連情報
© 2018 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top