抄録
現在,認知症患者は増加の一途をたどり,社会的課題となっているが,根治療法が確立しておらず,発症メカニズムの解明や新たな治療薬の開発が急務となっている.近年,一部の健康食品に認知症を予防する可能性が示唆されており,その一例であるローヤルゼリーには様々な生物活性を有する主要ローヤルゼリータンパク質群(MRJPs)が含まれ,認知機能および見当識改善作用を示すことが報告されている.今回,ChenらはMRJPsに着目し,ラットを用いた認知機能改善作用の評価とそれに関与するバイオマーカーの推定を行ったので紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Malecova B. et al., Gene, 303, 165-175(2003).
2) Pyrzanowska J. et al., J. Ethnopharmacol., 155, 343-351(2014).
3) Chen D. et al.,J.Agric.Food Chem., 65, 3151-3159(2017).