ファルマシア
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アダプター分子Talin1のTLRシグナルの活性化を制御する新規機能の解明
齋藤 浩大
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2021 年 57 巻 4 号 p. 320

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抄録

樹状細胞などの食細胞は,ウイルスや病原菌をパターン認識受容体(pattern recognition receptor: PRR)で認識し,異物を排除する.また,抗原提示細胞として,獲得免疫への橋渡しも行っている.トル様受容体(toll-like receptor: TLR)はPRRの一種であり,リガンドが結合するとMyD88やTRIFを介して細胞内に活性化シグナルを伝達する.TLRを介して活性化した樹状細胞では,ケモカイン受容体の発現が上昇し,所属リンパ節へ遊走後,T細胞を活性化する.そのため,炎症部位における獲得免疫誘導には,樹状細胞のTLRシグナル活性化とそれに伴う遊走能亢進が極めて重要である.しかし,その詳細なメカニズムは解明されていなかった.Talin1は,インテグリンと相互作用することで細胞接着に関与する分子であるが,TLRシグナルおよび樹状細胞遊走に対する役割は不明な点が多い.本稿では,Talin1のTLRを介した樹状細胞活性化,および炎症局所への樹状細胞遊走に対する新たな制御機構を発見した報告を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Calderwood D. A. et al., Nat. Rev. Mol. Cell Biol., 14, 503-517(2013).
2) Lim T. J. F. et al., J. Exp. Med., 217, e20191810(2020).
3) King J. K. et al., J. Immunol., 195, 464-476(2015).

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© 2021 The Pharmaceutical Society of Japan
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