抄録
羊ヶ丘実験林は林業試験場北海道支場 ( 現 国立研究開発法人 森林総合研究所北海道支所) が札幌市豊平区羊ヶ丘の現在の場所に移転するにともない整備され、1973年7月から露場による気象観測も開始された。苗畑の管理などに使用するための観測であることから、一般的な気象観測に比べて精度維持にあまり労力はかけられてこなかった。しかし、多くの気象庁の観測地点の周辺では都市化が進行しているため、観測開始から周辺環境が緑地で40年以上その状態が保たれている観測点は少なく、都市化の影響が少ないと思われる地点での気象観測データは貴重であることから、40年間のデータをとりまとめた。対象期間の気温、水蒸気圧および年最大積雪深の平均はそれぞれ7.5 ℃、9.6 hPa および98 cm だった。通年観測できた年の平均年降水量は952 mm だったが冬季を中心に過小評価している可能性が高い。風速は露場周辺に植林された樹木の樹高成長の影響を受け、徐々に低下した。