森林総合研究所研究報告
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層構成とラミナの等級の違いがスギCLT の面内方向の曲げヤング係数と曲げ強さに及ぼす影響
平松 靖 宮武 敦玉置 教司新藤 健太井道 裕史長尾 博文原田 真樹小木曽 純子
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2017 年 16 巻 4 号 p. 213-224

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抄録
スギを用いたクロス・ラミネイティド・ティンバー(CLT)について、ラミナ構成、ラミナの強度 等級、外層のラミナの方向が、ラミナの積層接着面に平行方向(面内方向)の曲げヤング係数、曲げ 強さに及ぼす影響を明らかにするために、強度等級をMx60、層構成を 3 層 3 プライ、3 層 4 プライ、5 層 5 プライ、5 層 7 プライ、7 層 7 プライの 5 構成、外層のラミナの方向を長辺方向に対して平行方向(強軸方向)、直交方向(弱軸方向)の2 方向とした10 シリーズの試験体を、幅105 mm ×厚さ30 mm のラミナ(ラミナ同士の幅はぎはしていない)を用いて作製し、縦振動法及び曲げたわみ振動法(T. G. H. 法)を用いて動的なヤング係数の測定をした後、面内方向の曲げ試験に供した。その結果、以下のことが明らかになった。(1)CLT の面内方向の曲げヤング係数、曲げ強さは、層構成、ラミナの等級、全プライ数に対する強軸方向のプライ数の割合に影響をうける、(2)ラミナの曲げヤング係数、曲げ強さからCLT の面内方向の曲げヤング係数、曲げ強さをおおよそ推定可能である、(3)CLTの面内方向の静的な曲げヤング係数は、動的な測定方法により推定することが可能である、(4)CLTの見かけの曲げヤング係数と曲げ強さの相関は高い、(5)破壊形態は強軸方向のプライの引張り側にあるフィンガージョイントを含むものが多く、試験体の上部まで破断するものが多かった。
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