森林総合研究所研究報告
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16 巻, 4 号
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  • 平松 靖, 宮武 敦, 玉置 教司, 新藤 健太, 井道 裕史, 長尾 博文, 原田 真樹, 小木曽 純子
    2017 年 16 巻 4 号 p. 213-224
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/01
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    スギを用いたクロス・ラミネイティド・ティンバー(CLT)について、ラミナ構成、ラミナの強度 等級、外層のラミナの方向が、ラミナの積層接着面に平行方向(面内方向)の曲げヤング係数、曲げ 強さに及ぼす影響を明らかにするために、強度等級をMx60、層構成を 3 層 3 プライ、3 層 4 プライ、5 層 5 プライ、5 層 7 プライ、7 層 7 プライの 5 構成、外層のラミナの方向を長辺方向に対して平行方向(強軸方向)、直交方向(弱軸方向)の2 方向とした10 シリーズの試験体を、幅105 mm ×厚さ30 mm のラミナ(ラミナ同士の幅はぎはしていない)を用いて作製し、縦振動法及び曲げたわみ振動法(T. G. H. 法)を用いて動的なヤング係数の測定をした後、面内方向の曲げ試験に供した。その結果、以下のことが明らかになった。(1)CLT の面内方向の曲げヤング係数、曲げ強さは、層構成、ラミナの等級、全プライ数に対する強軸方向のプライ数の割合に影響をうける、(2)ラミナの曲げヤング係数、曲げ強さからCLT の面内方向の曲げヤング係数、曲げ強さをおおよそ推定可能である、(3)CLTの面内方向の静的な曲げヤング係数は、動的な測定方法により推定することが可能である、(4)CLTの見かけの曲げヤング係数と曲げ強さの相関は高い、(5)破壊形態は強軸方向のプライの引張り側にあるフィンガージョイントを含むものが多く、試験体の上部まで破断するものが多かった。
  • 杉田 久志, 梶本 卓也, 福島 成樹, 高橋 利彦, 吉田 茂二郎
    2017 年 16 巻 4 号 p. 225-238
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/01
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    林齢90年生時に本数で64%、材積で53%の強度間伐が実施された岩手県のスギ高齢人工林において、その後114年生までの林分および個体の成長を復元し、間伐が成長に及ぼした影響と個体の成長のばらつきをもたらす要因について検討した。間伐前の立木密度は458本/ha、収量比数0.55で比較的疎であり、樹冠長率は45.0%であった。間伐により立木密度は167本/ha、収量比数0.27へと低下した。間伐後に枯損した個体はなく、樹高成長速度は0.15m/年で、間伐前後で変わらなかった。胸高直径の成長速度は間伐前の0.21cm/年から0.43cm/年に増加した。間伐後の林分材積成長速度は8.20m3/ha/年で、間伐直前の8.55m3/ha/年からあまり低下しなかった。期首直径と直径成長速度との関係では、間伐前にみられた正の相関が間伐後にみられなくなったが、間伐20年後には再びみられるようになった。個体間競争が胸高断面積成長速度に及ぼす影響は、間伐後に一方向的な競争の影響がみとめられ、樹冠を接している個体の中で最大サイズのものの成長が旺盛であった。一方、双方向的な競争関係の影響はみられなかった。以上のことから、比較的低い密度で管理されてきたスギ高齢人工林において、強度の間伐を行ってその後きわめて低い密度で管理して超長伐期施業をめざす施業は、大径材や年輪幅からみた高品質材を生産する観点からも、一つの選択肢になり得ると考えられる。
  • 八巻 一成
    2017 年 16 巻 4 号 p. 239-248
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/01
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    多種多様なニーズが求められる都市林で持続可能な森林管理を実現していくためには、利害関係者の参加と協働による森林ガバナンスの確立が重要な課題となってきている。本研究は、都市林におけるより良いガバナンスの実現のために、ガバナンスの現状を評価する手法の検討を行った。まず、森林におけるガバナンスの概念的な検討を行い、次にガバナンスの評価手法について考察した。続いて、野幌国有林を事例として、森林再生やその他の保全管理活動に関わる市民団体に対して実施した意識調査の中から、ガバナンス評価に利用可能な14の指標を抽出し、評価を試みた。その結果、ガバナンスの評価は全体的にはあまり高い値を示しておらず、特に財政的支援に対する評価が低い値となっ た。また、市民団体と国有林との関わり方の違いによって、評価に差が見られた。以上より、森林との関わり方の違いによって、ガバナンスに対する関係者の評価は異なってくると考えられることから、より包括的な評価を行うためには多様な関係者を対象とした評価を実施する必要がある。
  • 篠宮 佳樹, 今矢 明宏, 坂本 知己
    2017 年 16 巻 4 号 p. 249-256
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/01
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    東日本大震災後の海岸防災林再生事業で造成された生育基盤盛土の一部では、水溜まりの発生や盛土の硬さが問題となり、改善作業が実施されている。本研究では、宮城県名取市の盛土におけるスケルトンバケット式バックホウによる深耕の効果とその持続性について明らかにするため、透水性及び硬度を調査した。硬度は長谷川式土壌貫入計を用いて、透水性は採土円筒により非攪乱状態の盛土を持ち帰り、定水位法で測定した。その結果、深耕による盛土の硬度の低下と透水性の改善を確認した。深耕から3か月、6か月経過後、0 ~ 10 cm の最表層で再硬化と透水性の低下が認められたが、10 cm以深の盛土は柔らかく、深耕の効果が持続していた。
  • 牧野 俊一, 滝 久智, 槇原 寬
    2017 年 16 巻 4 号 p. 257-263
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/01
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    森林害虫等の捕食者として働く一方、刺傷事故をもたらす要因でもある社会性カリバチ類(スズメバチ類およびアシナガバチ類)について、東北、四国、九州の3地域(各12林分)のスギ人工林でマレーズトラップを用いた採集を行った。これら12林分は管理方法の異なる4カテゴリー(各3林分)に分けられた。1)無間伐の老齢林(78-102年生; OAと略記)、2)無間伐林(41 ー51年生; UT)、3)調査から2-4年前に切り捨て間伐を行った林分(36 ー50年生; TL)、4)同じく伐出間伐を行った林分(TR)。捕獲された社会性カリバチは合計13種(スズメバチ亜科9種、アシナガバチ亜科4種)、350 個体であった。スズメバチ亜科においてはいずれの地域でもキイロスズメバチVespa simillima とシダクロスズメバチVespula shidai が優占的であり、各地域の同亜科総捕獲数のそれぞれ38-55%、32-52% を占めた。管理方法を固定要因、地域をブロックとした一般化線型モデルにより解析したところ、管理方法は種数には影響を与えなかったが、優占種であるキイロスズメバチとシダクロスズメバチの個体数には影響を与えた。すなわちキイロスズメバチではOA、UTおよびTHにおいて個体数がTLよりも大きく、シダクロスズメバチではUTとOAにおいて、TLとTRよりも個体数が大きかった。過去に報告された昆虫類の多くと異なり、なぜ間伐林で個体数が少なかったのかについて可能な原因を議論した。
  • 河合 慶恵, 久保田 正裕, 遠藤 圭太, 磯田 圭哉
    2017 年 16 巻 4 号 p. 265-266
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/01
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
  • 2017 年 16 巻 4 号 p. 267
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/03/06
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
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