森林総合研究所研究報告
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強度間伐が行われたスギ高齢人工林における林分および個体の成長
杉田 久志 梶本 卓也福島 成樹高橋 利彦吉田 茂二郎
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2017 年 16 巻 4 号 p. 225-238

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抄録
林齢90年生時に本数で64%、材積で53%の強度間伐が実施された岩手県のスギ高齢人工林において、その後114年生までの林分および個体の成長を復元し、間伐が成長に及ぼした影響と個体の成長のばらつきをもたらす要因について検討した。間伐前の立木密度は458本/ha、収量比数0.55で比較的疎であり、樹冠長率は45.0%であった。間伐により立木密度は167本/ha、収量比数0.27へと低下した。間伐後に枯損した個体はなく、樹高成長速度は0.15m/年で、間伐前後で変わらなかった。胸高直径の成長速度は間伐前の0.21cm/年から0.43cm/年に増加した。間伐後の林分材積成長速度は8.20m3/ha/年で、間伐直前の8.55m3/ha/年からあまり低下しなかった。期首直径と直径成長速度との関係では、間伐前にみられた正の相関が間伐後にみられなくなったが、間伐20年後には再びみられるようになった。個体間競争が胸高断面積成長速度に及ぼす影響は、間伐後に一方向的な競争の影響がみとめられ、樹冠を接している個体の中で最大サイズのものの成長が旺盛であった。一方、双方向的な競争関係の影響はみられなかった。以上のことから、比較的低い密度で管理されてきたスギ高齢人工林において、強度の間伐を行ってその後きわめて低い密度で管理して超長伐期施業をめざす施業は、大径材や年輪幅からみた高品質材を生産する観点からも、一つの選択肢になり得ると考えられる。
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