抄録
森林総合研究所関西支所の竜ノ口山森林理水試験地の南谷と北谷において観測された2006 ~ 2010年の日降水量・日流出水量をとりまとめた。日界は日本中央標準時の24時である。降水量は山麓の岡山実験林気象観測露場に設置した3台の転倒マス型雨量計の時間雨量の平均値を積算した値である。2006年8月2日~ 12月10日は3台とも欠測のため貯水型雨量計の値を記載した。流出量は量水堰堤の60°V ノッチを越流する水位を観測し、流量換算して積算した値である。水位計にはペン記録型のフロート式自記水位計を用い、アナログ水位記録の離散化は手作業でおこなった。南谷では2008年の5月29日と9月26日に水位計の機械的なトラブルによる欠測が生じた。このためこの両日における南谷の日流出量として推定水位に基づく参考値を記載した。補完値を含めた本報告期間における平均年降水量は1071.2mm、平均年流出量は南谷で315.2mm、北谷で349.9mm であった。2006年2・3月、2004年の台風で生じた風倒跡地0.48ha の斜面上部にヒノキ、斜面下部に4 種類の広葉樹が植栽された。その後植栽地では2010年まで年1回夏季に下刈りが実施された。しかしながら全体的には本報告期間における流域植生の変化は顕著ではなかった。