2020 年 19 巻 1 号 p. 55-67
2種のトリュフ、アジアクロセイヨウショウロ (Tuber himalayense) とホンセイヨウショウロ (T. japonicum) の人工栽培技術の確立に資する情報を得るために、両種の生息地土壌の特徴を明らかにすることを目的とした。アジアクロセイヨウショウロの発生地 (5サイト) とホンセイヨウショウロの発生地 (4サイト) において子実体発生地と隣接する非発生地で0~5cmおよび0~15cm深さの土壌を採取し、土壌化学性、土性、微生物バイオマスを測定した。両種ともに0~5cm土壌の土壌化学性と微生物バイオマスに発生地と非発生地で違いが認められなかった。両種の発生地土壌の土性 (0-15cm深) は極端なものはなく多様であり、他のトリュフ種の傾向と同様であった。アジアクロセイヨウショウロでは0~15cm深さの土壌の土壌化学性にも発生地と非発生地の違いは認められなかった。一方、ホンセイヨウショウロでは0~15cm深さの交換性カルシウム量、 交換性陽イオン量は発生地で非発生地より有意に低かった。ホンセイヨウショウロは弱酸性 (pHが5~6) で、養分に乏しい土壌のほうが好適である可能性が考えられた。一方、アジアクロセイヨウショウロの生息地土壌はpHが6~8で塩基飽和度が比較的高いという特徴があった。