抄録
本研究は、木材チップ製造に係るエネルギーおよびコストに及ぼす樹種および原料寸法の影響を明らかにすることを目的とした。幅および厚さの異なるヒノキ、カラマツ、クヌギの板材を原料として、ディスクチッパーでチップ化したときの消費電力を測定し、チップ化に要するエネルギーを求めた。また、チップ化の生産性を明らかにし、チップ化に係るコストを算出した。その結果、消費電力は 6.5 ~ 46.9 kW であり、原料寸法が大きくなるにつれて、また、原料密度が大きくなるにつれて増大していた。一方、全乾質量あたりの消費エネルギーは 45.3 ~ 96.4 MJ/t であり、原料寸法が大きいほど、また、原料の密度が大きいほど減少する傾向があった。また、チップ化コストは 632 ~ 7,611 円/t であり、原料の寸法および密度が大きくいほど減少した。経費のうち電気料金の占める割合が大きかったが、全乾質量あたりのコストでは生産性の影響が強く反映され、生産性の高い条件においてコストが低くなった。これらのことは、質量の大きな原料を投入し、生産性を高めることで、消費エネルギーおよびコストを抑えたチップ化ができることを示している。