森林総合研究所研究報告
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補間・推定方法の違いが森林の二酸化炭素吸収・ 放出量算出値に与える影響 -札幌および富士吉田森林気象試験地 タワーフラックスデータの検証-
溝口 康子 山野井 克己
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2021 年 20 巻 4 号 p. 323-337

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抄録
世界各地の様々な植生で渦相関法を用いたフラックス観測が行われ、観測データを元に純生態系生産量 (NEP)、総一次生産量 (GPP) および生態系呼吸量 (RE) が求められている。NEP の欠測値補間および GPP、RE の算出には多くの方法が提案されている。方法の違いによる影響を把握するため、台風撹乱によって森林構造が大きく変化した落葉広葉樹林の札幌森林気象試験地と常緑針葉樹林の富士吉田森林気象試験地のデータを用いて比較検証および再解析を行った。補間に用いるための値の推定方法の違いによる影響は大きく、特に RE は大きな差が生じた。サイト毎に方法の違いによる影響は異なるため、各サイト個別に様々な手法を用いて値を算出し、値の不確実性の把握を行う必要がある。日中の RE 推定を光合成光量子束密度 (PPFD) とNEP の関係を用いて 4 種類の方法で求め、夜間の気温と NEP の関係式から日中の RE を推定した場合との比較を行った。方法によって値にばらつきはあるものの、分解による CO2 放出量の多い札幌サイトでは両者の差は小さかったが、富士吉田サイトでは日中の RE 推定を PPFD と NEP の関係から求めた場合の方が小さかった。日中の RE 推定を PPFD と NEP の関係を用いて行うことにより、対象サイトの日中の葉呼吸低下の影響の有無を把握できることが示された。
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