抄録
カツラ (Cercidiphyllum japonicum) は、高い萌芽能力を持ち、複数の幹からなる樹形になりやすく、天然林での伐採後に萌芽更新が期待される。多幹性を評価するため、北海道中央部の択伐を受けている広葉樹林でカツラの幹のサイズを測り、断面積割合による幹の多様度 (シンプソン指数の逆数) を求めた。すべてのカツラの木 (非伐採木71本と伐採木11本) を観察した調査区 (17.8 ha) において、33本 (40%) の木が複数の幹からなっていた。その調査区に加えて3.4 kmの調査ルート沿いで測定した合計123本は、伐採されているか、林冠に達すると、幹の多様度が高まった。それら123本のうちの伐採木40本では、伐採の状態 (切り株の古さとサイズ) を含む要因のなかで幹の多様度に影響した要因は検出されなかった。これらの結果は、環境条件にかかわらず伐採が萌芽を促進し、明るい光環境が非伐採木の萌芽の原因となっていることを示唆する。