2022 年 21 巻 2 号 p. 153-159
関東地方の樹齢の異なる6つの広葉樹二次林において、マレーズトラップ(MT)とベイトトラップ(BT)(餌はオレンジジュースと焼酎の混合)とでスズメバチ亜科の捕獲数と種組成を比較した。春季(5月〜6月)と秋季(8月〜10月)に、MT は合計6種3属99個体、BT は8種2属918個体を捕獲した。 BT は春季には最も若い林分で、また秋季には6林分すべてにおいて、MT よりも多くの個体を捕獲した。 BT ではMT に比してクロスズメバチ属よりスズメバチ属の捕獲比率が高かった。全体としてBT は、ホオナガスズメバチ属など特定のグループに対する誘引性が低いことを考慮して使用すれば、スズメバチ亜科の多様性と現存量を比較する有効な方法であると言える。