複数の植栽地から入手したコウヨウザンを用いて、各種強度試験を行なった。得られた試験結果を用いて強度特性値を評価し、現行の基準強度との関係を検証した。その結果、コウヨウザンの基準強度の設定について以下の結論が得られた。製材の日本農林規格の機械等級区分構造用製材に適用する場合、曲げおよび圧縮はアカマツ他の樹種群に含めることが適当であり、せん断はスギ相当が適当である。枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材の日本農林規格に適用する場合、甲種枠組材の特級のみの判断ではあるものの、曲げ、圧縮はJSIII に含めることが適当であるのに対して、せん断はJSII に含めることが適当であるため、現行規格に設定された樹種群では対応できない。めり込みについてはいずれの種類の基準強度も同様で、スギ相当が適当である。ただし、以上は限られた試験体による検討結果であり、製材の日本農林規格の目視等級区分構造用製材としての検討、枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材の日本農林規格の甲種枠組材2級としての検討はともに行なっていない。また、せん断、めり込みは、スギの基準強度に対しても下回るものも存在した。さらに、くぎ接合部一面せん断については、密度の低い試験体はスギよりも低い性能を示す場合があった。以上のように、残された課題も多く、今後もデータを積み重ねて検証を進めることが重要である。