森林総合研究所研究報告
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特定外来生物クリハラリスの生息する小島と生息しない対岸の半島における昆虫相の比較
上田 明良 後藤 秀章佐山 勝彦金谷 整一安田 雅俊
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2025 年 24 巻 2 号 p. 151-170

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抄録

外来哺乳類のクリハラリス(以下リス)が昆虫相に与える影響解明の予備調査として、リス根絶前の大分市高島と対岸のリスの生息しない佐賀関半島の森林内で、誘引剤を用いた3種のトラップ(衝突板、ピットフォールとスズメバチ用トラップ)による昆虫捕獲調査を行った。昆虫グループ別にみると、カミキリムシ科とスズメバチ属の種数と捕獲数が佐賀関半島で有意に多く、高島ではリスの捕食による負の影響を受けていると考えられた。一方、腐肉食性のシデムシ科と糞虫類の捕獲数は高島で有意に多く、リスの死骸供給による正の影響の存在が示唆された。オサムシ科の種数と捕獲数は両地点間に有意差がなく、リスの影響を受けているとはいえなかった。

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