Functional Food Research
Online ISSN : 2434-3048
Print ISSN : 2432-3357
総説
早老症モデルを用いた食品素材の機能性解析
清水 孝彦
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ジャーナル オープンアクセス

2023 年 19 巻 p. 5-9

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抄録

早老症は,老化に似た症状が実際の年齢よりも前倒しされて,若齢時に出現する遺伝病である.遺伝性早老症の分子遺伝学的研究から,原因遺伝子が特定され,DNA 修復またはゲノムの安定性に寄与する遺伝子が同定された.また早老症患者由来細胞は,細胞老化形質を示し,DNA 損傷と細胞老化の寄与が示されている.日本人に症例数の多いWerner 早老症候群は,種々のモデル開発にも関わらず,未だ老化兆候を呈する適切なモデル系がない.最近,われわれは新しいWerner 早老症モデルマウスの作出を試み,患者症状の一部を再現でき,かつ組織細胞が細胞老化形質を示すことを明らかにしている.またモデルマウス由来細胞はセノリシス薬感受性であり,セノリシス作用を評価できる.本総説では,遺伝性早老症の概説から,最新の早老症モデルマウスの紹介とともに,ファンクショナルフードによる老化制御の可能性について論じたい.

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© 2023 ファンクショナルフード学会
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