抄録
土壁は、古くから住宅材料として使用されてきたが、100年以上経過した建造物に用いられた土、古土の性質については不明な点も多い。古土は、土壁および土塀から採取したもので、粒度分布は用途が異なっても違いを確認できず、両者とも粘りも少ない。また、土中のすさは引っ張ると容易に切れることから、土自体の強度が高くても絡まることができず崩れやすい。古土の曲げおよび圧縮強度は新土の1/2以下で、土壁全体で考えると耐震性が新築時よりも大きく低下していることになる。したがって、適切な時期での塗り替えが求められていることを明らかにした。