抄録
本報では、沖縄県本島2か所、宮古島と鹿児島県沖永良部島の計4か所で実施した屋外暴露試験12ヶ月の結果から、クロムフリー系化成皮膜処理の前工程であるエッチング工程がポリエステル粉体塗装の耐久性に与える影響や、試験場所の違いによる劣化の差異について検討している。本報の結果から、以下のようなことがいえる。(1)4か所で実施した屋外暴露試験の中で、沖縄本島1と宮古島で暴露したHAA硬化形ポリエステル粉体塗装の全試験片Xカット部に、最大5mmに達する膨れが発生している。一方、その他の試験場所では、膨れの発生が軽微である。これまでの検討結果から、暴露試験場所の環境により、塗膜の劣化には差異が生じることを報告しており、今回の実験においても同様の傾向が示されている。(2)沖縄本島1および2で実施した屋外暴露試験において、エッチング処理を施さないクロムフリー系化成皮膜処理に、HAA硬化形ポリエステル粉体塗装の試験片端部に、6mm以上の膨れが見られる。化成皮膜処理におけるエッチング工程を施すことは、塗膜の耐久性向上に有効であることが示唆される。(3)イソシアネート硬化形ポリエステル粉体塗装の試験片では、HAA硬化形ポリエステル粉体塗装と比較して、膨れの発生が軽微である傾向が見られる。既報の耐中性塩水噴霧試験の結果と同様に、クロムフリー系化成皮膜処理においては、エッチング工程との組合せによっては、粉体塗料の硬化系との適合性が認められる。今後も、屋外暴露試験による評価を継続して、化成皮膜処理におけるエッチング工程が粉体塗装の耐久性に与える影響および暴露試験場所の違いによる塗膜劣化に対する影響について、さらに詳細な検討を進めていく予定である。