1990 年 31 巻 2 号 p. 51-59
受験体制下の中学生には、電流回路の学習はオームの法則を覚え、答を出すことと思っている者が少なくない。こうした中学生に、電流、電圧、抵抗相互の物理学的意味に気づかせるために「答を吟味する授業」を2時問試行し、約4ヶ月後に学力保持テストを行って学習効果を調べた。その結果「答を吟味する授業」は、①総合的な保持学力には影響しない、②電流、電圧、抵抗の関係をイメージ化してとらえる態度は定着させた、⑥グラフ化の操作ではかえって混乱を生じさせた、ことがわかった。以上の結果は、授業構成を工夫すれば、現在の中学生にも法則の意味を気づかせることが可能であることを示すと共に、理解目標と達成目標の調和のとれた指導法のあり方にいくつかの示唆を与えているように思われる。