日本薬理学雑誌
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シリーズ:ポストゲノムシークエンス時代の薬理学
システムバイオロジー
石井 優倉智 嘉久
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2005 年 126 巻 2 号 p. 117-120

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抄録

ヒトゲノムの配列の決定がほぼ完了し,ポストゲノム科学の時代となり,転写レベル・タンパク質レベル・タンパク質相互作用レベル・生理機能レベルなど,各階層の網羅的データが集積しつつある.システムバイオロジーとは,これらの膨大な知識を基盤に,生命をシステムとして理解することを目指した生物学の新たな分野である.以前より生命現象に数理モデルを当てはめ,理論的に解析する試みはなされてきていた.それらの試みは,生理現象をシステムとして記述し,理解する際にある一定の成果をあげることはできたが,生命の基本レベルの知識(例えば遺伝情報など)から生理機能・個体レベルの知識への一貫した知識の体系を構築するには至らなかった.しかし,近年の分子生物学・生理学の急速な進歩により膨大な情報が得られ,また一方では,半導体技術の進歩,計算機科学の劇的な向上により,大量の情報を比較的短時間で処理することが可能となった.これが,生命現象全体のシステム化を目指すシステムバイオロジーの分野の台頭を招いた.本総説では,システムバイオロジーの目的・意義と今後の薬理学分野における方向性・展望などについて,筆者らが取り組んでいる試みを具体例として交えて概説したい.

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© 2005 公益社団法人 日本薬理学会
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