日本薬理学雑誌
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特集 漢方薬理学:補完・代替医療としての薬理学的エビデンス
漢方薬理学:補完・代替医療としての漢方方剤
佐藤 広康
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2012 年 140 巻 2 号 p. 54-57

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抄録
漢方薬の薬理効果を理解するには,生薬・含有成分の基礎薬理学的エビデンスは最重要である.古来からの伝統医学は主観に基づいた理論概念による漢方処方であるが,そうではなく,薬理学的エビデンスから作用機序を捉まえて,漢方薬の理解を進めていきたいと考えている.本来,西洋薬中心の医療が主体であり,和漢・漢方薬は補完・代替医療として捉えるべきである.西洋薬との非適合(アレルギー,副作用,致死率など)による必要性や,高齢者,女性に高い適応性があるため,漢方薬を含めた多種多様な補完・代替医療を理解し最大限に活用していくべきである.欧米からみれば,日本漢方薬の品質均一化は薬品価値から高く評価されている.しかし,漢方方剤は製薬会社間で,含有生薬が異なり生薬含有量にも差異がある.従って,私には欧米と同じようには評価できないが,補完・代替医療として,漢方薬,健康食品の規格,含有有効成分の統一化を図る必要性を強く感じている.
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© 2012 公益社団法人 日本薬理学会
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