日本薬理学雑誌
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がん患者のサポートケアを目指したトランスレーショナルリサーチの提言
抗がん剤治療による口内炎に対する半夏瀉心湯の効果~明日の口内炎患者のために~
宮野 加奈子河野 透上園 保仁
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2015 年 146 巻 2 号 p. 76-80

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抄録

抗がん剤や放射線治療により発症する口内炎は,健常人が経験する口内炎と比較し,炎症が広範囲であり,その痛みは強く,摂食困難,抗がん剤の減量,変更を余儀なくされる場合も多い.現在口内炎に対して推奨される予防・治療法はなく,新たな治療法の確立が必要とされている.我々はこれまでに,漢方薬のひとつである半夏瀉心湯の含嗽が,抗がん剤治療により発症した口内炎に有効であることを臨床試験により明らかにし,さらに半夏瀉心湯の口内炎改善メカニズムを解明するための基礎研究を行っている.抗がん剤投与後,口腔粘膜をスクラッチして口内炎を発生させたGolden Syrian Hamsterの口内炎部位では,炎症・発痛物質であるプロスタグランジンE2(PGE2)量が増加しており,半夏瀉心湯投与によりPGE2は減少し,口内炎は有意に改善された.次に,human oral keratinocyteを用い,PGE2産生に対する半夏瀉心湯の効果を解析した.その結果,IL-1β刺激によるPGE2産生は半夏瀉心湯濃度依存的に抑制され,この抑制作用には半夏瀉心湯を構成している乾姜の成分である[6]-shogaol,ならびに黄芩成分であるbaicalinおよびwogoninが重要であることが明らかとなった.さらに各成分によるPGE2産生抑制メカニズムについて解析を行ったところ,黄芩成分はIL-1β刺激により発現するシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)を阻害することにより,また,[6]-shogaolはPGE2合成関連酵素の活性を阻害することによりPGE2産生を抑制することが示唆された.以上の結果より,半夏瀉心湯の構成生薬成分がそれぞれ異なる作用点を介して総和的にPGE2産生を抑制し,口内炎を改善する可能性が示唆された.

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