日本薬理学雑誌
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新しい睡眠導入剤1H-1,2,4-Triazolyl benzophenone誘導体450191-Sのラット肝薬物代謝酵素系への影響
松原 尚志戸内 明山田 のりこ西山 進也
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1985 年 86 巻 2 号 p. 115-127

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抄録

新しい睡眠導入剤450191-Sのラット肝薬物代謝酵素系への影響を検討し,nitrazepamやphenobarbitalとの作用の比較を行った.ラットに450191-Sを50~200 mg/kg/dayの割合で1~14日間連続して経口投与した後に,肝薬物代謝酵素の機能を7-alkoxycoumarin O-dealkylase活性を指標として調ぺた.450191-sを150~200 mg/kgの投与量で3~5日間以上投与した動物で,cytochromeP-450依存性のO-dealkylase活性の増加が認められ酵素誘導現象が観察されたが,肝肥大はみられなかった.大量の450191-Sを1週間投与して酵素誘導をひきおこした後に休薬すると,増大した酵素活性は3~5日間の休薬でほゞ正常レベルにまで回復した.450191-S投与による肝薬物代謝活性の増大は,投与量を200,400,600 mg/kg/dayと増量することにより顕著に認められるようになった.nitrazepam投与によってもラット肝薬物代謝活性の増大が認められた.450191-Sやnitrazepamの大量投与時には,cytochrome P-450含量やUDPGA-glucuronyltransferase活性の増大も認められ,同一量の薬物投与時の活性増大の程度は両薬物でほゞ同じであった.典型的な酵素誘導剤であるphenobarbitalを腹腔内に10~40 mg/kg/dayの量で3日間投与した際にみられる肝薬物代謝活性の増大は,450191-Sやnitrazepamを200~600 mg/kg/dayで3日間経口投与したときの活性増大とほゴ同程度であった.これらの結果から,450191-Sの酵素誘導作用の強さはnitrazepamとほゞ同一であるが,phenobarbitalよりははるかに弱いと結論できた.450191-S,phenobarbitalおよびβ-naphthoflavone投与ラットでpentobarbital誘導の睡眠時間を比較すると,450191-Sやphenobarbitalによる酵素誘導発現時には睡眠時間が短縮したが,β-naphthonavoneによる酵素誘導時には睡眠時間が延長した.これらの実験成績から,450191-Sは主としてphenobarbital型の酵素誘導をひきおこしていると結論できた.

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