日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
新しい睡眠導入剤1H-1,2,4-Triazolyl benzophenone誘導体450191-Sの薬理(IV) 450191-Sおよび代謝物の脳移行性
田中 日出男乗鞍 良吉森 丈夫菅野 浩一
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 86 巻 2 号 p. 129-143

詳細
抄録

既存のベンゾジアゼピン系薬物に比べて,骨格筋弛緩作用が弱いという特徴を有する新しい睡眠導入剤1H-1,2,4-triazolyl benzophenone誘導体,450191-S,およびその活性代謝物について脳移行性をbrain uptake index (BUI)法を用いて検討し,さらにマウスおよびラットを用いたin vivoの系においても脳移行性を検討した.BUI法において450191-Sは血液―脳関門(BBB)をほとんど通過しなかったが,ベンゾジアゼピン環に閉環した代謝物は脳移行性を示した.butano1の脳移行率を100%とした場合,主要代謝物中M-1(83~93%),M-2(73~89%)はdiazepam(83~96%)に匹敵する良好な脳移行性を示し,次いでM-3(55~67%)となり,M-A(10~11%)のそれは低かった.flunitrazepam(104~108%)とRo5-4864(115~122%)は非常に良好な脳移行性を示し,methylclonazepam(74~79%)もかなり高い脳移行性を示した.以上のベンゾジアゼピンの脳移行性は,Rm値で示される脂溶性とよい相関があった.次に450191-Sまたは,その一次閉環代謝物のM-1をマウスに経口投与した後の主要代謝物の血漿中および脳内濃度を比較した,450191-S未変化体は血漿,脳のいずれにおいても検出されず,吸収時に腸管または肝臓において速やかに閉環体に代謝されると思われる.M-1,M-2およびM-3は脳―血漿濃度比が1以上を示したが,M-Aは0.3程度となりBUI法の結果とよく一致した.M-4は血漿中には相当量存在するにもかかわらず,脳内にはほとんど検出されなかった.450191-S経口投与後の主要代謝物の,ラット脳内への移行もBUI法の結果とよく一致した.450191-SまたはM-1投与後の主要活性代謝物の血漿中濃度を比較すると,投与直後の血漿中濃度の上昇速度は450191-S投与群がM-1投与群より緩徐であり,このことがマウスの薬理作用,特に筋弛緩作用において450191-S投与群がM-1投与群より弱いという特徴を示すことに関与している可能性が推察された.

著者関連情報
© 社団法人 日本薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top