抄録
症例は61歳,女性.両下肢紫斑と腎機能障害にて入院後に消化管出血が出現し当科紹介となった.小腸内視鏡検査にて回腸遠位に多発性潰瘍を認めたため,血管炎症候群を疑ってステロイド治療を開始した.出血が続いたため,腹部血管造影も行ったが出血は制御できず,小腸造影検査にて病変範囲を同定したうえで回腸150cm切除を含めた回盲部切除術を施行した.切除標本で中型動脈主体の壊死性血管炎を認め,結節性多発動脈炎と診断した.診断・治療に難渋する消化管出血の際は本症の可能性を念頭に置き,内視鏡を主体とした早期診断が肝要であるが,一方で手術が必要な際は範囲診断に小腸造影検査が有用であることを再確認されられたと思われる.