日本消化器内視鏡学会雑誌
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総説
早期胃癌ESD/EMR根治度C-2(非治癒切除)病変に対する対応
八田 和久 後藤田 卓志小山 恒男小池 智幸正宗 淳下瀬川 徹
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2018 年 60 巻 6 号 p. 1173-1185

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抄録

早期胃癌ESD/EMR後に胃癌治療ガイドラインにおける内視鏡的根治度C-2(非治癒切除)と判定された際には,リンパ節転移のリスクから全例で追加外科切除が推奨されている.しかし,実際には29-70%が無治療経過観察となっている.早期胃癌内視鏡的根治度C-2の際のリンパ節転移率は4-11%とされており,その最も強い独立危険因子はリンパ管侵襲と報告されている.また,他にも静脈侵襲などの独立危険因子があり,これらを組み合わせた早期胃癌内視鏡的根治度C-2病変のリンパ節転移を予測する簡便なスコアリングシステム(eCura system)を報告した.同システムは胃癌死を予測する臨床的に有用な指標となると思われる.一方,わが国では人口の高齢化とともに胃癌患者の高齢化も進んでおり,高齢早期胃癌ESD/EMR根治度C-2患者に対して非胃癌死も含んだ生命予後全体を予測可能なシステムの確立が望まれる.

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© 2018 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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