膵癌家系や遺伝性腫瘍症候群の家系では膵癌発生リスクが上昇するため,欧米では2000年頃から早期膵癌診断を目的としたサーベイランスが行われて来た.スクリーニングにはMRIやCTなどの横断面画像に加えて膵管と膵実質の両方を精度高く観察できるEUSが用いられ,膵癌やその前駆病変が疑われた際にはERCPやEUS-FNAによる精査・病理検体採取が行われて来た.膵癌家系のEUSでは,点状・線状高エコー,嚢胞,膵管拡張,分葉状エコー等,早期慢性膵炎の所見が特徴的と報告される.2011年に米国ボルチモアで開催されたCancer of the Pancreas Screening(CAPS)国際コンソーシアムでは膵管上皮の高度異型病変(PanIN 3)ないし早期膵癌の診断・治療が目標に定められたが,今日まで世界的に報告される膵癌サーベイランスの成績はこの目標には程遠い.2014年に本邦でも家族性膵癌登録が設立され,膵癌家系のサーベイランスが始まろうとしている.