2018 年 60 巻 7 号 p. 1353-1359
当院では大腸憩室出血に対してEndoscopic Band Ligation(EBL)で治療を行ってきた.今までの経験から治療のポイントをお伝えする際に,治療全体をA:責任憩室の同定,B:EBL手技,C:治療後のマネージメントについて分けて説明する.
A:責任憩室の同定では,腸管蠕動が強まる前に責任憩室を同定することが重要である.また活動性の出血(Active Bleeding:AB)のみならずNon-Bleeding Visible Vessel(NBVV)やAdherent Clot(AC)といったStigmata of recent hemorrhage(SRH)を同定することが求められる.
B:EBL手技では効果的なマーキングクリップを行うため,2つのクリップを鳥居状に配置する事が重要である.バンドが不成功であった際にはクリップやボスミン局注を憩室の開口部の大きさをみて選択する.
C:治療後のマネージメントでは早期再出血への対応,少数例ながら本邦で報告されている穿孔例について情報を共有したい.