バレット食道癌は,特にLong segment Barrett’s esophagus(LSBE)では0-Ⅱb進展が多いため側方進展範囲診断が難しい.このため,LSBEに発生した境界不明瞭なバレット食道癌では,胃の低分化腺癌同様に周囲からの生検で陰性を確認してから,内視鏡治療に臨む必要がある.またsquamocolumnar junction(SCJ)に接したバレット食道癌では,口側に扁平上皮下進展が存在する場合が多い.上皮下進展の内視鏡所見として粘膜の色調変化,異常血管の出現,小孔が挙げられる.扁平上皮下進展距離平均値はShort segment Barrett’s esophagus(SSBE)で4(1-12)mm,LSBEで5(1~20)mmであり,注意深く,口側切開線を決定する.SSBEでは10mm,LSBEでは20mmの余裕を確保して,口側切開線を決定する.
バレット食道癌では逆流性食道炎や潰瘍瘢痕を合併していることが多く,扁平上皮癌のESDに比して,ESDの難易度が高い.
バレット食道癌は異時多発癌が10.3~21.5%と高頻度のため,欧米ではvisible lesionに対して内視鏡的治療を行った後に,残バレット粘膜に対してRadiofrequency ablation(RFA)を行うことが推奨されている.しかしRFA後に粘膜深部にバレット粘膜が残り,表層のみが扁平上皮で覆われる(baried barrett)ことがあり,RFAで完全にバレット粘膜が撲滅できるわけではないことを知っておく必要がある.日本のガイドラインでは慎重な経過観察を薦めているが,異時多発癌予防のため,全周切除,二期的に分けた全周切除,の治療戦略をわれわれは実践している.