2020 年 62 巻 11 号 p. 2940-2945
症例は66歳男性.十二指腸潰瘍の経過観察目的で行った上部消化管内視鏡検査で,胃前庭部小彎に10mm大の0-Ⅱa病変を認めた.生検結果がGroup 4で中分化型管状腺癌が疑われ,ESDを施行した.病理組織型所見は粘膜内癌で粘液癌を含む管状腺癌であったが,粘膜内のリンパ管に侵襲を認めた.追加外科手術が必要と考えられたが,経過観察を希望され,術後1年の経過で再発を認めていない.管状腺癌に粘液癌を伴った粘膜内癌でリンパ管侵襲陽性の稀な1例を経験したので報告する.