2020 年 62 巻 7 号 p. 778-784
症例は75歳男性.黒色便を認め,内視鏡検査で十二指腸球部後面に無茎性腫瘤性病変(25mm)を認め,頂部に微小な露出血管を伴ったびらんがあり止血処置を行った. EUS-FNAを施行しBrunner腺の過形成を認め悪性の可能性は極めて低いと判断したが,出血を繰り返し治療適応と判断した.局在や大きさ,形態から内視鏡的切除困難なため外科的局所切除を施行した.病理はBrunner腺の他に導管や平滑筋の増生も認めBrunner腺過誤腫と診断した.Brunner腺過誤腫が内視鏡切除できない場合,病変の局在によっては膵頭十二指腸切除など侵襲的な手術が選択された報告もあるが,EUS-FNAは診断に有用であった.