日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
総説
胆膵疾患診療におけるConfocal laser endomicroscopy
中井 陽介 小池 和彦
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2021 年 63 巻 10 号 p. 2183-2191

詳細
抄録

共焦点レーザー内視鏡(Confocal laser endomicroscopy;CLE)は,消化管領域では既に有用性が確立されている拡大内視鏡の一つであるが,確定診断が困難な胆管狭窄や膵嚢胞性腫瘍に対しても有用性が報告されてきた.胆道・膵臓疾患においては,内視鏡的逆行性膵胆管造影(Endoscopic retrograde cholangiopancreatography;ERCP)ガイド下,超音波内視鏡(Endoscopic ultrasonography;EUS)ガイド下に,細径プローブをカテーテルあるいは穿刺針内を通して病変にアクセスすることで画像診断を行う.胆管狭窄の良悪性の鑑別,膵嚢胞性腫瘍の膵管内乳頭粘液性腫瘍(Intraductal mucinous papillary neoplasm;IPMN)や膵漿液性嚢胞腫瘍(Serous cystic neoplasm;SCN)などの特徴的な画像所見がこれまでに報告されており,臨床研究においても高い診断能が示されてきた.また最近になり膵嚢胞性腫瘍異型度の診断も可能であるという報告も出てきており,治療方針に直結する診断が可能となる可能性がある.また最近では胆道狭窄に対しては経口胆道鏡(Peroral cholangioscopy;POCS),膵嚢胞性腫瘍に対しては超音波内視鏡下経穿刺針的鉗子生検(EUS-guided through-the-needle biopsy;EUS-TTNB)などの有用性も報告されており,今後はこのような他のモダリティとCLEの比較あるいは組み合わせなどの検討も待たれる.コスト・保険適応などの問題はあるが,今後胆膵疾患における大規模臨床試験により本邦におけるCLEの位置づけが確立されることを期待したい.

著者関連情報
© 2021 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top