2021 年 63 巻 2 号 p. 223-235
Zenker憩室(ZD)は比較的稀な疾患であるが,嚥下障害や摂食困難による体重減少,逆流による誤嚥性肺炎などによりQOLの低下の原因となる.これまで外科的外切開術や硬性内視鏡を用いた憩室隔壁切開術が施行されてきたが,近年欧米を中心として経口軟性内視鏡を用いた憩室隔壁切開術(Flexible endoscopic septum division:FESD)が広まり,2020年の欧州消化器内視鏡学会(ESGE)ガイドラインでは第一選択の治療法に位置付けられた.本邦でも2020年7月より先進医療として承認され,今後標準治療としての保険収載が期待される.そこで本稿では,ZDの病態およびその治療法としてのFESDの手技,治療スケジュールとフォローアップについて詳細に解説する.