日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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症例
完全内臓逆位症における早期胃癌に対しESDを施行した1例
齋田 将之 関 英一郎丹羽 浩一郎呉 一眞柴田 將加賀 浩之
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キーワード: 完全内臓逆位, 早期胃癌, ESD
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2023 年 65 巻 5 号 p. 442-447

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抄録

症例は88歳男性.若年期に完全内臓逆位を指摘されていた.上部消化管内視鏡検査で胃前庭部小彎後壁に20mm大の0-Ⅱc型早期胃癌を疑う病変を認めた.左側臥位では病変の存在する前庭部の伸展が不良であったため,右側臥位で再度内視鏡検査を行った.右側臥位では左側臥位と比べ前庭部の伸展は保たれていた.しかし,右側臥位では通常と異なる術者姿勢と周辺機器配置を要し,ESDにおける繊細な内視鏡操作は困難であることが想定され,実際のESDは左側臥位にて行った.左側臥位におけるESDでは合併症なく一括切除可能であった.完全内臓逆位における早期胃癌に対しESDを行う際,左側および右側の側臥位における術前シミュレーションは有用であると考えられた.

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© 2023 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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