2025 年 67 巻 6 号 p. 1205-1219
【背景】脈管侵襲(リンパ管侵襲および静脈侵襲を含む,lymphovascular invasion:LVI)は,リンパ節転移(lymph node metastasis:LNM)の重要なリスク因子であり,T1大腸癌(colorectal cancer:CRC)の内視鏡切除後の追加手術を必要とする場合が多い.しかし,LNMの予測に対する追加染色の影響については不明である.本系統的レビューは,T1 CRCにおけるLNMの判定に対する追加染色の影響を評価することを目的とした.
【方法】5つの電子データベースを用いて文献検索を行った.アウトカムは,階層的要約受信者動作特性曲線を用いて評価された診断オッズ比(diagnostic odds ratio:DOR)と,カッパ係数(κ)を用いて評価されたLVIの病理医間の一致度を設定した.また,SM浸潤度,低分化,簇出などの他のリスク因子を含めた多変量解析を実施し,サブグループ分析も実施した.
【結果】64件の研究(18,097人の患者)を対象とし,ヘマトキシリン・エオシン(HE)染色およびLVIの追加染色におけるLNM判定のプールされた感度はHE染色で0.45(95%信頼区間[confidence interval; CI]0.32-0.58),追加染色で0.68(95% CI 0.44-0.86)であった.特異度は,それぞれ0.88(95% CI 0.78-0.94)と0.76(95% CI 0.62-0.86)であった.DORはHE染色で6.26(95% CI 3.73-10.53),追加染色で6.47(95% CI 3.40-12.32)であった.多変量解析では,LNMの追加染色に対するDOR(DOR 5.95;95% CI 2.87-12.33)は,HE染色に対するDOR(DOR 1.89;95% CI 1.13-3.16)よりも有意に高かった(P=0.01).HE染色とLVIの追加染色のプールされたκ値は,それぞれ0.37(95% CI 0.22-0.52)と0.62(95% CI 0.04-0.99)であった.
【結論】LVIの追加染色は,LNMのDORと病理医間のLVIに対する観察者間一致度を向上させる可能性がある.