抄録
症例は27歳女性.腹痛と1日2~3回の水様下痢にてAB-Pc1gを投与され,腹痛・下痢は一時消失したが7日目より再び1日7~8回の粘血下痢便・下腹部痛出現し入院入院時便培養検査にて黄色ブドウ球菌が検出された.入院2日目の大腸内視鏡検査では直腸・S状結腸下部に著変なく,肛門より30cmのS状結腸から上行結腸中部までの粘膜は浮腫状で発赤がびまん性に存在し,びらんや浅い潰瘍が散在していた.上行結腸口側部・回盲部には著明な発赤がみられた.生検所見でもびらん・小円形細胞浸潤が認められ,杯細胞は減少していたがcrypt abscessや好酸球浸潤はみられなかった.NA内服,PSL注腸・補液などにて入院4日目には症状消失し,便培養も陰性化した.入院12日後の注腸X線検査では著変なかった.菌交代性ブドウ球菌腸炎は激症化・致死をきたすこともあり,今後抗生物質の使用増加とともに頻発すると思われる腸炎であるが,急性期に大腸全体の内視鏡的検索をした報告例は極めて少なく,下痢の機序解明に意義あると考え報告した.