抄録
胃潰癌発生で幽門機能の障害とそれによる十二指腸液の逆流増加が重要な役割を演じていることが考えられている.われわれは,幽門機能の障害を幽門輪の形態的変形としてとらえ,十二指腸球部および幽門輪の変形と合併胃潰揚との関係をみた.その結果,十二指腸球部および幽門輪に明らかな変形を有するものでは,軽度の変形のものに比べ,胃潰瘍または胃潰瘍;瘢痕の合併が3倍以上(P<0.01)も高頻度であった.合併胃潰瘍の存在部位は,胃前庭部で対照とした単独胃潰瘍の約2.5倍(P<0.01)も多く認められ,口側へ上行するに従い低値を示した.以上の結果から,十二指腸球部および幽門輪の変形は幽門の機能である逆流防止機転を破綻し,逆流十二指腸液の増加により胃潰揚を発生し易くしているものと推察した.