日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
食道・胃接合部近傍の急性症変―Mallory-Weiss症候群,Boerhaave症候群,急性長軸線型胃潰瘍―
水入 紘造水吉 秀男若松 貞男古河 一男安部井 徹新藤 健
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 23 巻 2 号 p. 224-230_1

詳細
抄録
Mallory-Weiss症候群は20歳の男性.アルコール摂取し頻回の嘔吐後に,吐血を主訴として来院.内視鏡検査で胃噴門部小彎に裂創を認めた.Boerhaave症候群は57歳の男性.食後に1回ほど嘔吐し,その直後より胸痛が出現した.胸部X-Pで気胸と胸水を認めた.第6病日に内視鏡,食道造影より食道・胃接合部直上の左側食道壁に破裂孔を認め,特発性食道破裂の診断のもとに緊急手術が施行されたが,敗血症,消化管出血を合併して死亡.急性長軸線型胃潰瘍は77歳の男性.高血圧でレセルピン,腰痛で鎮痛剤を服用していたら黒色便が生じた.内視鏡検査で胃噴門部後壁に線状潰瘍を認めた.強度の貧血のために2,000ml輸血した.前2者は腹腔内圧の上昇機転の後に出現し,Mallory-Weiss症候群では噴門部小彎,Boerhaave症候群では食道下部左側壁に好発する.急性長軸線型潰瘍はMallory-Weiss症候群と鑑別すべき疾患であり,これらの診断には早期内視鏡検査と共に問診が重要である.
著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top