抄録
大腸ファイバースコープの操作性,観察能をより向上させるため,広視野角(120。)大腸ファイバースコープを試作し,検討した.これによれば,腸管の強い屈曲部でも腸管の走向確認が容易であり,S状・下行結腸移行部,左右結腸曲の通過に際し大きい利点が得られた.また,近接でも比較的広範囲が観察された.さらに,従来のファイバースコープでは盲点となりやすかった半月弁のかげ,強い屈曲部の内側面などにおいても,観察性能がすぐれていた.また,腸管の走向とスコープの軸が一致した場合には,内腔の望遠像と共に,スコープ先端に近い部が広範囲に正面像に近く観察された.一方距離の違いによる病変の大きさのみかけ上の極端な変動,近接時の像の歪みが認められたが,これらは問題となる程の欠点ではないと思われた.以上より,大腸ファイバースコープの光学系はより広角にすべきものと考えられた.