日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
消化管の癌に対する内視鏡的Nd・YAGレーザー治療の有効性と限界
加藤 修杉原 真山近 仁倉下 隆服部 和彦
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 27 巻 2 号 p. 201-209

詳細
抄録
 何らかの理由により,消化管の癌19例19病巣に内視鏡的Nd:YAGレーザー治療を試みた.癌による管腔狭窄解除目的群は食道癌1例,胃癌3例であったが,有効であったものは胃癌の1例のみであった.しかし,これらは未だ少数のため結論を出すのはもう少し待ちたい.直腸癌の1例はtumor reductionという胡息的治療目的であったが,結果的に局所根治が得られ,剖検にて完全治癒が確認された.隆起型早期食道癌の1例とIIa型早期胃癌の1例は消化管保存目的にてレーザー治療を施行し,1年以上を経た現在,生検癌陰性が続いている.外科的手術high risk例もしくは手術拒否例の隆起型胃癌4例4病巣も治療より1年以上を経て生検癌陰性が続いている.同様の理由でレーザー治療を施行した陥凹型早期胃癌8例8病巣中,治療より1年以上を経ても生検癌陰性が続いているものは3例3病巣で,5例5病巣は初回治療より6カ月以内に生検癌陽性となり追加レーザー照射を施行している.その原因は,病巣中心部へのレーザー照射の不足,病巣範囲把握の不充分性および病巣部位によるレーザー狙撃の困難性によると考えられた.前2者は技術の問題と,抗腫瘍効果が非特異的であるNd:YAGレーザーの解決し得ない問題であると考えたが,後者に関しては内視鏡の改良,レーザープローブの更なる細径化が急務であると考えた.内視鏡的Nd:YAGレーザー治療の適応となる消化管の癌は進行癌では,狭窄解除目的,止血目的に限られると考えた.局所根治目的では,内視鏡的にsm深くに癌浸潤のないと考えられ隆起型では長径4cm以下,陥凹型では長径3cm以下のものが適応となると考えたが,隆起型では長径2cm以下,陥凹型では長径1cm以下のものであればNd:YAGレーザーを第1選択としてもよいと考えた.なお,レーザー治療に際しては常に出血,穿孔などの危険性を考慮してかかるべきである.
著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top