日本畜産学会報
Online ISSN : 1880-8255
Print ISSN : 1346-907X
ISSN-L : 1880-8255
一般論文(原著)
モンゴル国森林ステップ地域の放牧ヒツジにおけるリグニン法により推定した秋から翌春の採食量
上原 有恒Erdenechimeg AYUSHOnontuul GANBAATAR進藤 和政山崎 正史
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 86 巻 2 号 p. 201-209

詳細
抄録

牧養力算出の基礎データを得ることを目的に,2011年9月から2012年4月に,モンゴル国森林ステップ地域の放牧草地において,12頭の去勢ヒツジ(試験開始時明け2歳)の排糞量と草中ならびに糞中の酸性デタージェントリグニン(ADL)より求めた消化率から日採食量を推定した.草地の地上部乾物(DM)現存量は,9月(1.252t/ha)に最も高く,2月には71%減少した(P < 0.05).体重(BW)は10月(45.5kg),11月(45.7kg)に高く,2月(39.5kg),4月(37.9kg)に低かった.日排糞量は11月で高く4月で低かった(P < 0.05).草中ADL含量(DM中%)は9月(9.68)と比べ10月(13.13)で高かったが(P < 0.05),11〜4月(10.54〜12.38)は他の時期と有意な差は見られなかった.糞中ADL含量は11月で最も高く9月で最も低かった(P < 0.05).乾物消化率は51.8〜63.8%,日採食量は1.10〜1.89kgDM/日であった.日採食量は11月で最も高かった.本試験では,冬期の採食量は文献値より高く推定され,冬期の牧養力は文献値より低くなることが示唆された.

著者関連情報
© 2015 公益社団法人 日本畜産学会
前の記事 次の記事
feedback
Top