日本消化器内視鏡学会雑誌
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先天性胆道閉鎖症術後食道静脈瘤に対する内視鏡的硬化療法の小児例
加藤 晴一斎藤 行世佐藤 寛原田 吉憲小松 和久
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1988 年 30 巻 1 号 p. 101-106_1

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抄録
先天性胆道閉鎖症術後に食道および噴門部静脈瘤を合併した8歳男児に対し,5%ethanolamine oleateを用い予防的な内視鏡的硬化療法を施行した.計3回の硬化療法により,食道静脈瘤は完全消失しまた噴門部静脈瘤も著明に改善した.2および3回目は静脈瘤造影下に行った.この際,硬化剤注入部に一過性の食道潰瘍を見たが,それ以外の合併症は認められなかった.従来より,門脈圧亢進症に対し外科手術が試みられているが,術後出血や合併症の問題がありその効果は充分とは言えない.これに対し,食道静脈瘤出血における緊急ないし待期的硬化療法の有効性が小児例においても報告されている.非出血例に対する予防的施行例は少なく,また小児の食道静脈瘤出血の内視鏡的risk factorに関し確立した見解は得られていないが,今後試みるべき方法と考える.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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